
人生の現場で、自らの人生を切り開いてきた人の顔を、私は数えきれないほど見てきた。
その中でも、今なお忘れられない男性がいる。
その方と出会ったのは、「親孝行お見合い会」というイベントだった。
今では高齢者同士の出会いも自然に受け入れられるようになったが、当時は60代、70代、80代の独身者に異性の友人や結婚相手を紹介すること自体、とても珍しい時代だった。
そこで、子どもが親の幸せを願い、新しい出会いを応援するという意味を込めて、このイベントを「親孝行お見合い会」と名付けた。
親孝行ミーティングは50〜100人規模で10回以上開催され、延べ1,000人近い方々が参加した。
その中には結婚した方もいれば、人生を語り合える異性の友人を見つけた方もいた。
また、「楽しい一日だった」と思い出として心に残した方もいた。
何組かのカップルについては、私自身が結婚式の司式を務めた。
そのときの写真は、今でも大切に残している。
ただ、あれから長い年月が過ぎ、当時参加された方々の多くは、もうこの世にはいらっしゃらないだろう。
ある男性は当時70代半ばだった。
六回の離婚を経験し、七回目の再婚に挑戦していた。
同年代とは思えないほど若々しく、背も高く、肌つやもよかった。
堂々とした雰囲気があり、若い頃はさぞ多くの人から一目置かれる存在だったのだろうと思わせる方だった。
当時は、インターネットを使うことが難しい高齢者も多く、Couple Managerが一人ひとり電話で話を聞きながらプロフィールを作成していた。
その過程で、彼の人生について詳しく知ることになった。
最初の奥様とは三年間ほど結婚生活を送り、三人の子どもに恵まれた。
しかし、その後離婚した。
二度目の結婚も、性格の違いから長くは続かなかった。
ところが、長男が結婚するとき、子どものために最初の奥様と再婚した。
「結婚式には両親がそろっているほうがいい。」
そう考えたからだった。
そして長男の結婚式が終わると、二人は再び別れた。
その後、新たな女性と出会い結婚したが、それも長くは続かなかった。
やがて第二子が結婚する頃になると、再び最初の奥様と復縁し、再婚した。
そして結婚式が終わると、また離婚した。
第三子の結婚でも、同じことが繰り返された。
子どもの結婚式のために夫婦として寄り添い、役目を終えると、それぞれの人生へ戻っていく。
そんな不思議な関係だった。
やがて三人の子どもたちは皆結婚し、もう親として果たす役目も終わった。
彼は再び、一人になった。
その頃には、すでに70歳を超えていた。
そして残りの人生を、一緒に歩いてくれる人に出会いたいと願うようになったのである。
親孝行お見合い会では、その男性はとても人気があった。
多くの女性が彼に関心を寄せた。
第1回の親孝行お見合い会では、観光バスを貸し切り、郊外へ出かけて交流の時間を過ごした。
市内へ戻ったあとは、希望者同士でカラオケへも行った。
長い間一人で生きてきた方々が、その日だけは心から笑い、青春を取り戻したように楽しんでいた。
その男性も、その場で出会った二人の女性と交際した。
しかし、ご縁にはつながらなかった。
その後も第3回、第4回の親孝行お見合い会に参加し、新たな女性と交際したものの、最終的に結婚には至らなかった。
その後どうなったのかは分からない。
今頃は、おそらくもうこの世にはいらっしゃらないのだろう。
それでも、あの方を思い出すたびに、一つだけ確信することがある。
人は、何歳になっても誰かに出会いたいと願う。
誰かを愛したいという心は、年齢とともに老いるものではない。
異性に胸をときめかせる気持ちも、
誰かと人生をともに歩みたいという願いも、
時間には負けない。
だからこそ、人生に遅すぎる出会いなど、本当は存在しないのかもしれない。

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